インターネット上の権利侵害に対する投稿者特定のための手続については、これまで主に「発信者情報開示請求」の仮処分や訴訟が用いられていましたが、いわゆるプロバイダ責任制限法の改正により、令和4年(2022年)10月1日から、これまでの制度に加えて、新たな「発信者情報開示命令」の制度が開始されます。
これまで、匿名の掲示板やSNSにおける投稿者の住所氏名等を特定するためには、通常、ウェブサイト管理者(コンテンツプロバイダ)に対する手続と通信会社(接続プロバイダ)に対する手続の2段階の手続が必要となっていました。これに対し、発信者情報開示命令の制度は、訴訟とは異なる「非訟事件」の手続として、1個の手続の中で両者に対する審理を合わせて行うことが特徴となっており、開示の可否の判断が迅速化されることが期待されています。
現時点(9月14日)では新制度はまだ施行されておらず、今後の事例の集積が待たれるところではありますが、当事務所では、ご依頼者の方々に迅速なサービスをご提供できるよう、現在、新制度の利用に向けた準備を進めております。